今回審議したのは、8月6日正午から放送したラジオ番組「戦後73年いま語り出す原爆の詩」です。以下のような3部構成で制作した番組でした。
1.峠三吉の「原爆詩集」を朗読し、峠三吉の詩の世界を考える
2.詩集「行李の中から出てきた原爆の詩」に原稿を寄せた3人のインタビュー
3.被爆体験記を13万編以上所蔵する国立広島原爆死没者追悼平和祈念館が主催する被爆体験記朗読会に参加した取材
出演者は、本名アナウンサー・伊藤アナウンサー(RCC)、ゲスト:アーサービナード(詩人)
【番組担当者の説明】
原爆投下から73年、被爆者が高齢化し、言葉で原爆を伝えることが難しくなっている今、私たちは、どのようにして後世に伝えるのかを考えました。資料館の遺品、被爆者が描いた絵など、いくつかあるなかで、この番組では「詩」に注目、被爆者が書いた文字による作品、中でも、当時の思いを封じ込めた詩にスポットを当てて番組を制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 8月6日の原爆の日に、地元の放送局が何をするかという環境の中で、詩にスポットを当てたということに価値がある。地元のラジオ局が果たすべき役割をしっかり果たした番組だと感じました。
- 朗読という形で、詩を取り上げる中で、ラジオで想像力を膨らませることができるというものですばらしかった。
- アーサービナードさんのコメントが現代風というか、今風というか、聞く方にも素直にすっと心に入ってきました。
- アーサービナードさんは、アメリカ人。なぜ、この日にアメリカ人をゲストとして呼んだのでしょうか。日本人が持っている原爆観など微妙なニュアンスをわかっているのか気になりました。
- 詩を読むときのBGMが低い音で、おどろおどろしく感じました。もう少し淡々とした調べの音楽を使った方がよかったのではないでしょうか。
- 伊藤アナウンサーの朗読が良かった。
- 詩を朗読して伝えるラジオというメディアの特性をよく理解して作られている番組で良かった。テレビにも新聞にもできない番組だと感じました。
- 峠三吉の詩は「にんげんをかえせ」しか知らなかったが、この番組を聴いていて、もっと詩をたくさん聴きたいと思いました。
- 出演者の声は地声が明るくて、そこに違和感があるというべきなのか、それとも、重くならなくていいと評価すべきなのか、どちらともとりかねたところがありました。
- 今の若い世代には、日常的に戦争がない。折に触れ、こういった番組を見たり聴いたりする機会を作るためにも、こういった番組を作り続けることが、RCCの使命の一つだと感じます。
【番組担当者の返答】
アーサービナードさんは、広島に住んでいて、詩人であるということ、峠三吉を研究し、尊敬していることで起用しました。アーサーさんは、峠三吉の詩を読む活動をしたり、出版の仕事をする中で、極めて日本人的、という印象も持っています。
演出論になりますが、BGMについては、製作段階で議論しました。いろいろ意見が出る中で、今回は、うすくつけてみようとチャレンジしました。
【その他】
今回の番組審議会では、社長・常務から、10月に総務省から中国放送へ再免許交付がされたこと、その中で番組審議会に関する要請の内容などを報告しました。