いのちの証〜ひと針に込めたヒロシマの記憶〜

放送日時 2005年8月5日(金)深夜1時25分〜1時55分 【テレビ】

ナレーター 田口麻衣アナウンサー

番組内容
佐伯郡大野町に住む佐古美智子さん(73)は、10年前から原爆をテーマにしたキルトを作り続けています。
佐古さんは十三歳の時、学徒動員で建物疎開に向かう途中、爆心地から1・5キロの鶴見橋で原爆に遭いました。大やけどを負いながらも一命を取り留めた佐古さん。しかし、正面から熱線を浴びた顔や腕にはひどいケロイドが残りました。
被爆から10年後、佐古さんは同じような境遇の若い女性たちとともにアメリカにわたり、ケロイドの手術を受けます。しんどい治療生活を支えてくれたホームステイ先のアメリカ人家庭で出会ったのが、小さな布片をつなぎ合わせてつくるキルトでした。中心は暖炉の火を表す赤、その周りは家をイメージしたデザインが施されたキルトでした。布で家族の温かみを表現できるなんて・・・佐古さんはその時の感動をずっと忘れられずにいました。
被爆から半世紀が経ち、残された人生が少ないと強く感じるようになった佐古さんは、自分の被爆体験や平和への思いをキルトに残したいと、作品を作るようになりました。自分の体験を話すと涙がこぼれて胸がつまってしまうけれど、キルトを通してなら語り継げる。そう思ったからです。佐古さんはこれまで自分の体験をほとんど話すことはありませんでした。テレビの取材も断ってきました。被爆した場所・鶴見橋へも、平和公園へもこの60年、一度も行けずにいるといいます。
被爆60年を迎える今年、佐古さんは最後の作品、「水・川・渇き」を手掛けることにしています。水も飲めずに死んでいった友達へささげたい・・・作品「水・川・渇き」にこめられた佐古さんの思いを取材しました。

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