聞き手 RCCラジオ  山原玲子アナウンサー

性の悩みを抱える10代の若者が増えています。2002年の統計では高校3年生までの性交経験率が男子で37.3%、女子で45.6%です。初交年齢もローティーンまで低年齢化しており、性行動の開放化と低年齢化が急速に進みつつあります。
これらの変化に伴って、若者の妊娠中絶やクラミジアなどの性感染症が急増しています。一方、性犯罪や虐待によって心に深い傷を負った若者も少なくありません。性をめぐる世代間の断絶も深刻です。親や教師とは相談しにくい事柄が多いために、一人悩み、手当てが遅れてしまった若者が増えています。
この番組では広大関係の専門家が、若者たちの抱える性の悩みについて率直かつわかりやすく解説し、若者たちが自分の性に自信をもって生きてゆくためのヒントを示します。

<放送のご案内>
第1回11月1日(土)午前6時00分−6時30分 RCCラジオ放送
第2回11月8日(土)午前6時00分−6時30分 RCCラジオ放送
第3回11月15日(土)午前6時00分−6時30分 RCCラジオ放送
第4回11月22日(土)午前6時00分−6時30分 RCCラジオ放送

第1回 医療の現場から見えることゲスト: 須藤なほみ(国立病院呉医療センター産婦人科医師)
十代の妊娠や性感染症罹患率の実態とその背景にある性行動の実態について、実際の症例や統計学的データを紹介しながら解説します。情報が乏しく、とかく他人事としてとらえられがちな「十代の性」の問題ですが、具体的な事例の紹介や調査の結果を聞いていただけば、これが多くの家庭で大変身近な問題であり、今日の日本社会で重要な問題であることをお分かりいただけると思います。十代の若者たちが望まない妊娠や性感染症を予防するためには、日頃から何に気をつけなければいけないのか、どうしなければいけないのか、若者たちが今すぐ実践できる形で具体的にアドバイスを行います。
第2回 傷ついた心を癒すゲスト:岡本 百合(広島大学保健管理センター助教授)
十代は身体の変化に伴って心も揺れ動きます。大人へと向かう不安定な時期でもあるからです。そういった十代の、特に“嵐のような時期”ともいわれている思春期を中心に、心の変化や性に対する態度について解説します。また、嵐のような時期であるからこそ、性の悩みは深刻で、心に深い傷跡を残します。さらに、一人ひとりの悩みや心の傷は,それぞれその深さや背景が違うのです。悩みや傷つきの背景にある心をどのように理解していくのか、どういったことが傷ついた心に影響を及ぼすのか、傷ついた心を癒し、サポートする手立てはどのようなものか、具体例をもとに考えていきます。
第3回 自分らしい「性」を探るゲスト:坂田 桐子(広島大学総合科学部助教授)
十代の性行動や性意識にマスメディア、友人、学校および家庭はどのような影響を及ぼしているのでしょうか。若者の性行動や性意識が社会の中でどのように作られているのかを、統計的資料等を参照しながら考えます。さまざまな情報を総合すると、十代の性は社会的・文化的に作られた「男らしさ」「女らしさ」(これを生物学的な性別と区別して「ジェンダー」と呼びます)を強く反映している姿が見えてきます。「女(男)はかくあるべき」という固定観念にとらわれることなく、人間として自分らしく生き、尊重しあうパートナー関係を築くために、どうすればよいかを考えます。
第4回 今必要な性教育とは座談会
第1回から第3回までのゲストスピーカーに加えて、20代の若者、性教育を担当している教師、親が、現在学校で行われている性教育の実態、若者が求める性教育、親が希望する性教育について本音で話し合います。多くの若者たちが抱える性の悩みをくくりだしながら、学校や家庭で行われるべき望ましい性教育とはどのようなものか、それをどうしたら実現できるかについて話し合っていただきます。


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