広島大学テレビセミナー2・眠りの科学 聞き手:吉田 幸(RCCアナウンサー)
吉田幸 眠りは心身の休息に欠かせないものですが、単なる静止状態ではありません。睡眠中枢は一晩中活動を続け、眠りの調節プログラムを実行すると共に、関連する生体システムに指令を出しています。睡眠は心身の成長、情緒の安定、記憶の固定に重要な役割を果たしています。
また、睡眠中枢は生体リズムに管理されていますので、不規則な生活が続くと眠りに歪みや障害が現れます。快適な睡眠を得るためには、睡眠のメカニズムを理解し適切な生活習慣を身につけることが大切です。
このセミナーでは、初めの2回で眠りのメカニズムを解説し、夢が生まれる仕組みや記憶の再編集と固定について紹介します。後半の2回では眠りを管理する生体リズムを紹介し、日中の居眠りが生体リズムの仕業であることを解説します。最後に睡眠と生体リズムの知識を踏まえた快適睡眠法を提案します。
<放送のご案内>
  第1回 第2回 第3回 第4回 放送時間
放送日(毎週土曜) 11月11日 11月18日 11月25日 12月2日 午前5時15分−5時45分
再放送(毎週月曜) 11月13日 11月20日     午前2時30分−3時00分
再放送(毎週月曜)     11月27日   午前2時25分−2時55分
再放送(火曜)       12月5日 午前2時30分−3時00分
再々放送(水・木曜) 12月27日 12月27日 12月28日 12月28日 午前4時30分−5時30分
※放送時間が変更になることがありますのでご承知おき下さい。

第1回 眠りと夢
写真 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という性質の全く異なった2つの睡眠状態があります。ノンレム睡眠では脳の保守管理、免疫力の回復や強化、成長ホルモンの分泌などが行われます。一方、レム睡眠で全身の骨格筋の力が抜けて身動きが出来ない状態がおこります。レム睡眠では神経ネットワークの点検や強化、さらには身動きできないようにしておいて、実際の場面に近いシミュレーションテストが行われているのではないかと考えられています。レム睡眠中に見る夢や、金縛り体験はこのようなレム睡眠中の神経活動に関係するものと考えられ、研究が進められています。 ゲスト:堀 忠雄
ゲスト:堀 忠雄
(大学院総合科学
研究科 教授)
第2回 睡眠と記憶・学習
写真 眠気が強い状態では課題に集中できないので学習の成績はふるいません。また、せっかく覚えたことも、思い出すのに苦労します。睡眠時間を削ることは記憶の習得にも再生にも有害です。さらに、最近の研究では学習した後24時間以内に6時間以上の睡眠をとると、およそ15〜20%も成績が向上することが分かってきました。実際、規則正しく十分な睡眠をとる生徒のほうが、無理に睡眠時間を切り詰めた生徒よりも成績がよいという報告がなされています。十分な睡眠は学習時の覚醒水準を高く保ち、情緒を安定させるだけでなく、記憶を向上させる力があることに世界の研究者が注目しています。 ゲスト:堀 忠雄
ゲスト:堀 忠雄
(大学院総合科学
研究科 教授)
第3回 居眠りのメカニズム
強い眠気は、食事や睡眠不足の影響だけでなく、3種類の生物リズムによってコントロールされています。これらの生物リズムは、それぞれ24時間、12時間、2時間の周期をもっており、眠気は周期的に発生します。居眠り事故も同様の時刻に集中して発生します。作業環境を見直すことで作業中の眠気はある程度改善されますが、強い眠気や居眠りを予防するには、15分程度の短時間仮眠が有効です。
しかし、仮眠をとった場合には、起床直後にかえって眠気が残る場合があるため、目覚めをすっきりさせるための覚醒法が提唱されています。
ゲスト:堀 忠雄
ゲスト:林 光緒
(大学院総合科学
研究科 助教授)
第4回 快適睡眠のための7か条
写真 厚生労働省が勧告した「快適な睡眠のための7箇条」。その内容は、
1)快適な睡眠でいきいき健康生活。
2)睡眠はひとそれぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター。
3)快適な睡眠は、自ら創り出す。
4)眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる。
5)目が醒めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン。
6)午後の眠気をやりすごす。
7)睡眠障害は、専門家に相談。
このように7箇条として挙げられています。ちょっとした生活習慣の工夫が、睡眠問題の予防・改善に役立つことを紹介します。
ゲスト:堀 忠雄
ゲスト:林 光緒
(大学院総合科学
研究科 助教授)


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