第487回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

 9月の番組審議会は、ラジオとテレビの番組審議を行いました。
ラジオ番組は、「録音風物誌」の番組コンクールで最優秀賞を受賞した『大竹手打刃物 最後の刀匠』を審議しました。録音風物誌という番組は、マイクを持って外に出ていろんな音を拾って録音構成する10分の番組です。RCCは、一昨年と昨年が優秀賞。そして、今回初めて最優秀を受賞しました。
今回、取り上げた題材は、江戸時代からの技を今に受け継いでいる大竹手打刃物です。
番組では、刀匠の姿を通して、伝統が時代と共に消えていく寂しさやはかなさを音と言葉で描いています。

  • 大竹の伝統工芸を、きちんと足で歩いて取材されたことは、非常にいいことじゃないかと思います。特に、今の若い人達が番組を聞いてくれたらいいと思います。鉄を鍛える音、刃物を研ぐ音、それから包丁の音、ふいごの音などしっかりと捉えられていて良かったと思います。


  • もう終わったの。それ程短く感じました。やはり時代の流れとか、それが継承できないはかなさといったものは、音の響きの中に感じられ非常に印象深い番組だなと思いました。


  • 耳を澄ませば、すぐそこでやっているというような感覚で聞かさせてもらいました。音楽も良かったし、ラジオでもこのように表現できるということを再発見しました。


  • 取材にかなりの時間をかけられたのでしょう。音をきちんと拾っておられる。これはラジオですから、本来は聴覚だけに訴えるものなのですが、うまく言葉を挿入・構成することで視覚的にも浮かび上がらせることに成功している。主人公のセリフも、なかなか含蓄があるといいますか、この道何十年もやっておられる方でないと出て来ないような言葉でした。ディレクターから音と言葉の世界を楽しんでいただきたいと言われましたが、非常に質の高い良い番組だったと思います。


  • 例えば、「がんこ」という一言を3人の方が語られました。奥さんは、人と付き合うのに「がんこさ」は大変だと心配して語られる。ご本人は、これがいいんだという。それから、多分お客さんだろうと思いますが、がんこなところが、「自分は好きなんよ」というふうに語られていた。一つのことを皆がいろんな切り口で語られて、それによって、ご本人の姿がより一層浮かびあがってくる。本当にいい言葉の使い方だったなと思いました。


など高い評価をいただきました。


 テレビ番組は、8月に放送しました民教協番組、『いきいき!夢キラリ〜力いっぱいうまい酒』を審議しました。この番組は、酒どころ西条の近く志和堀で、造り酒屋「千代乃春」の跡継ぎとなることを決意した大学を卒業したばかりの女性を1年間にわたり追いかけ、跡を継がなくてはならない境遇であるとか苦労を乗り越え、成長していく姿を描いた作品です。委員の方々からは、
  • 酒づくりの厳しさが伝わって来なかった。画面からストレートに伝わって来なくて、ナレーションについて行っている感じがしました。


  • 画面構成は、時系列順に柿の木越しに青空に映る煙突の場面であるとか、釜場に湯気が立つあり様、麹を仕込む時の釜場の様子、あるいは杜氏との語らい、掃除の場面など色んな場面を織り込んであり、とても安心して見られました。


  • 最近では、男社会に女性が入っていく場面がたくさんありますが、そんな番組だったと思います。立派に酒づくりをされて、女性でもできる。今度やってみたいという方が出て来られるんじゃないかと思いました。
    中村さんは、非常にいいナレーションで、分かりやすく聞かせていただきました。


  • 彼女が、どうして造り酒屋の跡継ぎとしてやろうと決意をしたのかについては、胸を打たれるような話がありましたが、欲を言えば彼女の口から引き出して欲しかった。 後継者探しというのは、どこも大変ご苦労してらっしゃいますが、物をつくり出すことの素晴らしさと苦労、両面からの表現がちょっと欠けていたのではないかと感じました。


  • 主人公の女性が美人で明るくて、それでいて250 年の歴史を背負わなければならないというバックグラウンドと、恵まれた資質があまりにも際立ちすぎて、そこに埋没してしまったかなという印象を持ちました。酒づくりという観点から見ると、やはりちょっと焦点が今ひとつかな、本当の酒づくりを伝えていないかな、そういう感じがしました。


  • 評価はいろいろあるでしょうが、丁寧に作られた番組だと思います。場面転換の中で、人それぞれに色んなことを感じながら見られたのではないか。これからも、こういうキラリと光る丁寧な番組を作っていただきたいと思いました。


  • どちらかというと、林さんという杜氏の人間性と言いますか、杜氏気質。この人の素晴らしさを、僕は一番感じました。彼女が、当主としてこれから頑張るんだというところと苦労しているところ、それから酒づくりの大変さの場面をうまく組み合わせれば、もっと伝わったのかなと思いました。こういう人たちが頑張ることで、これからの酒の時代を女性が変えるかもしれない。そこら辺りの表現が少し足りなかったのかなというふうに感じます。


などのご意見、ご感想をいただきました。

以  上

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