審議したのは、ラジオドラマ「広島もみじまんじゅう物語」2作品です。「私たちが友だちになった理由(わけ)」(ティーン作家賞)は、11月28日に「ラジプリズム」(22:00~24:00)内で放送されました。もう一つの「おばあちゃんの記し」(最優秀賞)は11月30日に「週末ナチュラリスト朝ナマ!」(07:00~10:55)内で放送されました。日本放送作家協会60周年にちなんであらすじを募集。中国支部と連携して制作し、放送しました。
【制作担当者の説明】
全国のラジオ局でかつて恒常的に制作されていましたが、今は制作機会がめっきり減ったラジオドラマ。作りこんでいくもの、形に残るものを制作したい、そして、若いクリエイターの刺激になるようなものにしたいなどの思いで制作しました。広島土産の一つ、もみじまんじゅうを食べるシーンを盛り込むことを1つの条件として今年3月から3か月間、あらすじを募集。全国から288作品の応募があり、最優秀賞とティーン作家賞に輝いた2つの作品をラジオドラマ化しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 効果音や音楽、出演者など、工夫が凝らされていました。
- 15分の中に、ストーリーとして盛り上がりが少し足りなかったと感じました。
- ラジオドラマやこの取り組みを初めて聞く人、知らない人のためにも、ドラマを放送する前にいきさつを話す時間をそれぞれの番組内で設けてほしかった。どういう募集をしたのか、放送で詳しく聞きたかった。
- もみじまんじゅうを食べるシーンで、もみじまんじゅうの味の種類を紹介した時、コマーシャルが少しちらつきました。
- 2つの作品は好対照で、年代の違いも良かった。「ラジプリズム」のリスナーにどのように響いたのか知りたい。
- 「おばあちゃんの記し」のストーリーには意外性を感じ、様々な背景を想像しながら聞けておもしろかった。
- ラジオという媒体は、ビジュアライズできるものを伝える役割もあるが、分かりそうでわからないものを伝えることも得意で、テレビにはできないことだと思う。そういう意味で、活字で作ったものを伝えることは、おもしろく、聞いている人の想像をかき立てる。「おばあちゃんの記し」は、ストーリーが進んでようやくわかることがあり、それが、ラジオの良さ、作品の良さをうまく伝えられていると感じました。
- 地方の文学賞が全国的に注目されており、発する側になりたい人はたくさんいると思います。一方で、今回のもみじまんじゅうを食べるシーンを盛り込むという応募の条件を設けることがくさびにもなれば枷にもなる。ラジオは、リスナーと番組とのつながりがあると思うので、企画をリスナーと共に作りながら1年かけてやるなどすれば、全国から注目されるイベントになるのではないか。
- 3か月間で288作品も集まったのは多いと感じます。表現したい気持ちを持っている人、ニーズはあるのではないでしょうか。
- この取り組みがきっかけとなり、若い人にもシナリオを書いてもらうなど、継続して取り組めば、ラジオドラマのおもしろさがさらに広がると思う。
- 継続して制作し、参加型にするなど今の時代のラジオドラマを10代の人たちがおもしろがれるようなものにしていけるといいと思いました。
【番組担当者の返答】
コンテストをする際には、細かいレギュレーションがあるそうですが、今回は、それを取っ払い、門戸を広げて募集ました。例えば、エキストラなど番組とリスナーが一体になれるような仕組みができないか考えていましたが、今回は叶いませんでした。今後も継続するなら、ラジオドラマを深く知ってもらえるような取り組みにもしていきたい。ラジオ制作部の中でも限られた人数で取り組んだため、今回得た経験を他のスタッフとも共有したい。費用面や仕事の割り振りなどの課題はありますが、文化を継承していきたいと考えています。