第460回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

第460回中国放送番組審議会は、2月26日午後3時から開かれました。
今回の審議対象番組は、平成13年度芸術祭ラジオ部門優秀賞を受賞したラジオドラマ「潮騒の彼方から」で、昨年11月18日午後9時から午後10時に放送したものです。
このドラマは、東京の建設会社で働く男が瀬戸内海の漁場改良事業を担当することになり、広島に出張中に海に溺れて入院する。そこで出会った地元の老人との葛藤と交流を通じて、自然と技術革新という相反する問題を、様々に姿を変える瀬戸内海の様子を織り交ぜながら描いた作品です。
委員の方からは、次のような御意見・ご感想を頂きました。

  • 全体の印象としては、ストレート過ぎる感じがした。ドラマのはじめに、水平線を見つめろという台詞が出てきた。これがどう作品に跳ね返るのか興味を持って聞いたが、ちょっとがっかりした。釣り糸を垂らして水平線を見つめろとは、僕にはわからない。 潮騒の彼方からとあるが、果たして日常の島の生活にあるのだろうか?現場を感じさせる言葉があるのではないだろうか。いずれにしても、ラジオで表現するのは難しいと感じた。
  • 感動しました。拍手を送りたい。音楽も良かったし米倉斉加年さんもすばらしかった。テレビでもやった方が良いかなと思いました。
  • 内容的には良かった。環境という時代に合ったものを取り上げており意味のあることだと思う。ただ、環境問題は、企業と一般の人々とでは捉え方が違う所もあるので、色んな面を見ながら作って欲しい。
  • 開発と環境破壊が二律背反の関係であることは皆分っている事で、敢えて結論は出さなくても良かった、常識的な所に落とさなくても良かったのかなと感じる。 聴き方として、前半は台本を見ながら、途中から音を聴いた。するとテンポが良くなり作品にボリューム感が出てきた。
  • 自然と開発をテーマに、都会と漁村、若者と老人の2人の人間模様を軸に、環境をどうしようと問いかけた番組だと思うが、私も水平線を見よと言う台詞は作者が頭の中で描いたものだと思う。そもそも広島に、瀬戸内海に水平線は無い。瀬戸内海の環境問題は、藻場の修復ではなく、海砂採取の後始末に山の砂を丸く加工して海に戻す工事だと理解している。(コストの問題などで、今はやっていないかも知れないが、浅場に藻を埋め、藻場を作る事業はあったという意見が出る)
  • 印象としては、環境問題は取り上げ方が難しい。現実はキレイごとではないし作品は美し過ぎると感じた。現代社会は、早く動きすぎて、身体に心がついて行けない状況だということを教えてくれている。ただ、ラジオだから説明を多く入れないで、想像させる形をとった方がいいのではないかと思う。つぎを期待します。
  • 崇高でキレイな作品ではあるが、もう少し現実感を出せれば60分間聴かせることが出来たと思う。取材が不充分だと感じるのは、公共工事にしてもレジャー施設の建設にしても漁協の同意が無ければ建設できないし、今は採る漁業から養殖、作る漁業へと転換している。また、海をキレイにする色んな手法が生み出されている。最後はハッピーエンドにしなくても良いのではないか、対立構造を際立たせて終わっても良いと思った。
  • ラジオを、初めて真剣に聞きました。言葉を聞いて広島弁が自然じゃないな、ドラマだなと思った。もう少しローカル色を出して欲しかった。 声優の方の力に引っ張られている感じはするが、自分の頭に場面を描くことは出来なかった。
  • 真面目なテーマを取り上げており、キレイなストーリーだし感動ある作りになっていた。 ただ、具体性や現実性がどうだったのかなとの思いがある。タイトルの「潮騒の彼方から」は美しい音のイメージで、余り変化の無いもの向こうから綺麗なものがやってくる感じがする。変化の無い海の底の問題を取り上げるにはテーマにそぐわない言葉だったかなと思う。辛口な批評になったが、環境問題、公害問題から環境ビジネスが脚光を浴び、バラ色のいい事だらけと思われているが、実体を覆い隠している。見落とし勝ちな所を取り上げて描けば面白い作品が出来るのではないか。
*その他、RCCの放送に関して
  • 県議会や市議会の中継はしないのですか?(県議会中継は年2回4日間の日程で放送しています)
  • 朝の番組で天気予報を画面の上に出しているが、土・日も出して欲しい。 ローカルニュースをもっと放送したほうが良いのではないか。
  • 冬季オリンピックを、どこの局も横並びで朝から晩まで放送しているが、やり過ぎではないか。放送する側と見る側の思いをもっと研究して欲しい
などの御意見、ご感想を頂きました。
出席委員(敬称略)
委員長
上田 良文
 
副委員長
久保田文也
 
委  員
山坂 淑子
安藤 欣賢

久笠 信雄
野村 純孝

上田みどり
清水 恵

奥原 祥司
 

以  上

トップへ戻る


Copyright (C) 2002, RCC Broadcasting Company. All rights reserved.
E-mail to rcc@rcc.net