第473回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

第473回中国放送番組審議会は、4月22日(火)に開催されました。
まず、RCCから審議会に対して、中国放送放送基準1章「人権」の項の3、「プライバシーを侵すような取扱いはしない」を「個人情報の取扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取扱いはしない」という文言に改正する。
「報道の責任」という項の33に、「ニュース報道にあたっては、個人の自由を侵したり、名誉を傷つけたりしないように注意する」となっているところを、33の1とし、33の2として、「集団的過熱取材による被害の発生は避けなければならない」という項目の追加を諮問しました。
これに対して、委員の方からは、個人情報保護法案を必要とする世の中が、現実に存在するというのは残念ながら事実であろうと思います。中国放送が放送基準の改正、ことに個人情報の取扱い等に関し改正をされるというのは非常に重要なことですし、意味のあることだと思いますとの意見が出され、番組審議会から、諮問通りの答申を得ました。

続いて番組審議に移り、4月4日(金)の午前11時から放送の30分番組
「別冊 六平のーと・食のチカラ農のチカラ」を審議しました。
この番組は、毎週土曜日の朝9時25分から15分間放送している「六平のーと」の特別バージョンで、番組では、総合学習の時間にアイガモ農法による米づくりを取り入れた尾道木之庄東小学校の1年間の取材を再編集したパートと食育懐石を取り上げています。
   【テレビ番組「別冊 六平のーと」30分】
視聴後委員の方々からは、次のようなご意見ご感想をいただきました。

  • (A委員)
    小学生の農業体験ですが、このパートは、アイガモをずっと孵化から育て、稲作にも使って愛着がわいたアイガモを食べるというところがポイントだと思うのですが、子ども達が実際どういう議論をして、そういう結論に至ったのかというところを、もう少し焦点をあてると、食というものの意味が、我々が命あるものを食べていくということの意味合いが、もう少しインパクトを持って伝えられたのではないだろうかという感じがします。
    それから食育懐石のパートは、一つの取組みとしては良いですが、もう少し内容が分かるような形で解説していただくか、伝わるような構成をしていただければ、もっと理解できたのではないかと思います。


  • (B委員)
    子ども達が、農作業について、一体何を学んだか。アイガモを食べて悲しい。これは想像できることで、もう少し農業体験について何を学んだのかが聞きたかった。それと、スローフード等を含め、食は地域の、いわゆる郷土の文化だろうと思います。今後、いろんな試みを紹介していただけたらいいなと思います。


  • (C委員)
    番組の中に小学校の話題と食育懐石の話題の二つありましたが、小学校の話題一つで良かったんじゃないかなという感じがしました。食の大切さ、食文化、本当に必要なことじゃないかと思います。食に関することは、物として考えずに、命として考えていただいて。命をいただくのですから、自分も命を育てるわけですから。そういうことも、今後取り上げていただければと思います。


  • (D委員)
    地域の物を地域で食べることが地産地消と思われているけれど、そうじゃない。もっと広い意味があります。それは、食と農を通じて地域の文化を考えたり、もっと言えば人の命の存在の尊厳の問題まで考える運動であると思っております。
    それで、番組の前半と後半ですが、どうもつながりが分からないところがあった。前半に付いていえば、自分達が育てたアイガモを最後に食べるということ。これは命のありがたさ、命をいただくという意味では、教育上、大変重要なことだと思います。ある小学校で、自分達が自らニワトリをつぶしてカレーライスで食べようとしました。そうしたらPTAと教育委員会から即ストップがかかったという話があります。そんなことをしたら情操教育上悪いじゃないかという発想なのですが、ならば、自分は殺さず人が殺して食べたものであれば食べていいのかという議論になります。もっとそこらを突っ込んでいけば、大人の教育にもなるのではないかと思いました。たとえば食材一つとっても、「しんどふじ」という言葉がありますが、土と人の命は2つにあらずという意味ですが、そういう議論からもっていけば、もっと地産地消の問題だとかいろんなものが深まって、素材の問題、地域の問題、環境の問題を大人達が考え、地域で採ったものが、一番健康にいいことも分かるだろうし、そういう方向に持っていってもらえば、これは素晴らしい番組になったのかなと思って見ました。


  • (E委員)
    豚でもなんでも、命をもらって私達は生きなきゃいけないというところを、子どもに教えるのは、非常に良いことだと思います。もっと、そのような番組をやって欲しい。他の番組でも、春に作ったものを収穫して刈り取る喜びの部分がいつも出ます。こういうのを見ると、農業をしたことがない人が作っているなと感じます。途中の過程、たとえば雑草をとったり、害虫の駆除をしたりとか、大変な部分があります。子どもに教育をするなら、途中のプロセスをちゃんと押さえるというか、そこらへんのことがもっと欲しいなというふうに感じました。
    それから、食育懐石の部分ですけれども、懐石ということになると、奥様方、特に中年の女性達は、皆さん楽しくやっています。スローフードの運動もそうですけれども、もうグルメ感覚でやってらっしゃいます。どういったものが健康にいいのかなど、自分達で楽しみながらやっているんです。だけど、これが趣味の域を出ていないというところに問題がある。食がどうなっているのか、今の日本の食は非常に危ういところに来ているというところの意識を反映した番組作りをして欲しい。


  • (F委員)
    かなり厳しい意見も出て言うことがなくなりましたが、私も、前半と後半のつながりが分からなかった。私は、前半だけ本当に深く突っ込んでいっても良かったのじゃないかなと思いました。それから、コンセプトが何だったのか、もう一つ見えてこなかった。
    最後に、メディアで出て来る文字は、字数の問題があるとは思いますが、正式な名称を使用して欲しいと思います。特に、こういった名称、「総合的な学習の時間」は2年ぐらい前に始まったばかりなので、これを違う名称で呼ばないようにした方が、よろしいんじゃないかと思いました。


  • (G委員)
    素材は非常に良いものだったと思います。また高尾六平さんの「六平のーと」の別冊という形で、こういう取り上げ方をされたのも悪くないと思います。ただ素材はいいのですが、じゃあ料理がおいしかったかと言うと、残念ながら、ちょっと味に深みがなかった。ずっと食べようかな、全部食べようかなという気にならなかったような気がするのが、若干残念でした。
    原因を考えてみたのですが、恐らくどんな番組でも、こういった番組であるからこそ、好奇心を惹起しないと、中々ついていくのがしんどいのかなという気がします。それともう一つは、皆さんも言っておられましたが、ちょっと番組に厚みが足りないかなということです。前半部分ではアイガモ農法を紹介しておられました。では、なぜこういう農業を採用されたのか。普通の田植えでは、どうしていけないのかというところ。多分子どもさん達の間でディスカッションがあったと思います。農業というのは、非常に辛く厳しいルーティーンワークこそが全てでございます。額に汗を流して雑草を抜いて、それを捨てに行って云々というのが、ずっと続くと思うわけですね。実際には、その辺りのしんどさも出ないと、食農教育の本当の意味、食がなぜ尊いのか。それは、農がいかに重たい、人の知恵や汗やそういったものに支えられているのかという裏付けがないと、この食農というものの重要さが分かってこないと思うんです。その辺がもう少し出ていればというふうに思いました。
    また、後半の食育懐石。食いしん坊の私は、非常に興味深く見ましたが、これが食い足りなかった原因はただ一つです。料理が1品しか紹介されませんでした。これは致命傷ですね。9品もあったということですから、せめて5品は紹介をしていただかないと、番組を見つづける意欲がわかないと思います。


  • (H委員)
    番組を作って、見てもらった後に、やはり見た人達の生活そのものに、何かの変化が起こって欲しいなということを思うわけです。先程もどなたか、もっとこれを深めると、大人が学べるものになっていたよなということをおっしゃいましたが、子ども番組ではなくて大人に訴えたいものであるというところは、もう少し明確にされたほうが良かっただろうと思います。
    都市と農村の交流と言えば、ややもすれば都市の人がお客さんで行って、農村側の人は、一生懸命接待をする。そんな形になってしまう。でも本当はそうじゃないでしょう。農が、すごく大切なものなのだということを皆に分かってもらおうと思うなら、都会の子ども達の前に、農家の子ども達が、農は大切なのだということが分かってないといけない。


  • (I委員)
    農業、私も仕事柄、お米に非常に関係のある仕事をしていますので、日本がここまで来たのかなというふうに感じました。
    安全な物を食べる。これは当たり前のことなのですが、東京、築地の料理屋さんの話では、最近の若い人に料理人の修行をさせる時に、まかないを作るまでに5年以上かかる。なぜかと言うと、冷凍食品とかファーストフード、食品添加物等々で自分の味を知らない。つまり母親の味を知らないということですね。最後の食育のところで欠けていたのは、そこではないかと思います。
    本当に生きるということは、食べるということ、作るということだろうと思いますので、そこをきっちり教えていただければいいと思います。
    それから、番組の中に、非常にいい言葉がポンポン出てくる。たとえば「自分達のことは自分達で体験して解決をしていく」とか、「土に親しめば元気が出る」とか、でもサラッと言っているので、それを捕まえられない。勿体無いですね。日本の米文化というのは、食べる物だけではなくて、飲物もそうですけれども、いろんなものに関係があるということ。農耕民族ですから、それをもっと大切にしていきたいと思います。


  • (委員長)
    私は2つのことを思いました。まず1つは、こういう番組をきちんとお作りになること。それが非常に重要だということについての認識を、私自身新たに感じたわけです。そして、視聴者が情報を得たことによって、どのように変わっていったのかということを、何かの機会でフォローアップをしていただければ、大変ありがたいというふうに思います。
    もう1つは、食というものを取り囲む広い意味の環境の変化、あるいは状況の変化について、これからキチンと押さえていかないといけない。これは大事だ、いい番組だと言ってお終いでは困る。やはり放送というのは、時代の中で、あるオピニオンリーダーとしての役割を持っていかなくてはいけない。それは、原則を貫くと同時に、新しい状況にどう対応していくかという具体的な提案というものが、今後必要になってくる。そこらあたりを私としては感じました。

    それではこの1ケ月間、RCCの番組、あるいは放送に関しまして、あるいは放送以外でもけっこうでございますけれども、ご意見やご要望がございましたら、どうぞご自由にご発言いただければ。


  • (G委員)
    では2点ほど申し上げさせていただきます。1点目は、去る4月13日が統一地方選がございました。残念ながらテレビ等を拝見していまして、RCCの報道体制が十分なものであったかというとですね、かなり他局に負けていたなという気がいたします。
    もう1点は、土曜日の午前か午後か覚えてないんですが、テレホンショッピングの時間がけっこう長くあるんですよね。これはちょっとRCCさん、イメージ損なっちゃうから、お考えになるといいのではないかなという気がいたしました。


  • (委員長)
    他に何かございますか。ではこれで4月の番審を終わります。
    次回は5月27日になります。


審議会における改善意見に対してとった措置及びその年月
<特になし>

平成15年4月22日
中国放送番組審議会
出席委員は
委員長:生和秀敏
副委員長:久保田文也 三好久美子
委員:野村純孝 久笠信雄 上田みどり 清水恵 奥原祥司 青木暢之 黒木義昭
以上10名

以  上

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