第475回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

第475回中国放送番組審議会は、6月24日(火)に開催されました。 今回は、6月7日、土曜日午前10時40分から放送されましたテレビ番組「分け入れば水音〜漂白の俳人・山頭火と名水」を審議しました。
この番組は、水戸黄門でお馴染みの佐野浅夫さんが山頭火に扮し、利き水の名人であったという仮説に基づき、山頭火の流浪の旅を描くと同時に、水を通して現在の環境を見直すキッカケになればとのコンセプトで制作したものです。
番組視聴後、委員の方々からは以下のようなご意見・ご感想をいただきました。

  • (A委員)
     漂白の俳人・山頭火と名水というタイトルですので、山頭火の生き方と水との関わりというものが、どのように描かれるのかなと期待を持って見始めましたが、山頭火を描いた部分も水を描いた部分も、両方不十分。そんな感じがしました。
     恐らく、コンセプトとしては水の方が、ウエイトが高いと思います。そうであれば、山頭火の生い立ちなど描かないで、山頭火を一つの舞台回しとして使い、水(名水)を描いていれば、もう少しスムーズに番組に入っていけたかなという感じがします。
     もう少し、どちらかに絞り込んだ方が良かったのではないかと思います。


  • (B委員)
     この番組、山頭火を案内人とした紀行番組と捉えれば、旅とかグルメとか盛り沢山で、そこそこ出来ているなと思います。ただ、細かいことですけれども、旅の行程が分かるような工夫、例えば地図を挿入するなどちょっとした工夫があれば、もっと見やすくなったかなという気がします。
     佐野さんはふくよかで、健康そうで、僕が思っていた山頭火のイメージと若干違っておりましたが、ひとり芝居はなかなか見せました。


  • (C委員)
     私は非常によかったと思いました。俳句の数々もよかったし、水について国際学院大学の佐々木先生の話も分かりやすく解説されていました。いい番組だと思いますので、もっと多くの人に見てもらうための番組PRをやられたほうがいいと思います。


  • (D委員)
     全般的な感想としては、盛りだくさんに入れ込もうとするあまり、ちょっと焦点がボケた感じになってしまっている。文学的・紀行的にやりたいのか、お水の分析をやりたいのか、教育的な効果を狙っているのか、それとも旅の楽しさみたいなものなのか、プロデューサーなり、ディレクターさんの意図というのが、ちょっとはっきりしないなと思いながら見ました。


  • (E委員)
     雨水が地下に染み込み、長い時間をかけて自然の伏流水として出てきたのが地下水で、それを私達が飲んでいるわけです。そこがもう少し分かれば良かったと思いますが、名水を飲みながら、これは甘い水かな辛い水かなと考えるのも、またいいんじゃないかと思います。僕は、そういう意味では感動して見ました。皆さん、水に関心を持っているようで持っていないのではないかなと、この放送を見て感じました。そういう意味で、山頭火と水は、いいアイディアだなと思いました。


  • (F委員)
     こういう番組は、普段あまり見ないのですが、けっこう分かりやすくて、自然に見られて、良かったと思います。


  • (G委員)
     この番組を見て思ったのは、どういうコンセプトで制作されたのかということです。RCCのコンセプトは、地元応援放送局であると承知しています。
     この番組は山頭火の生き様だったり、旅紀行みたいなところもある。俳句とはなんぞやというような所もある。東広島とか、広島などの名水も出てきました。どこにポイントがあるのか忙しい番組だったというふうに感じました。
     今回、水を切り口にされているのであれば、水に特化して、広島には如何にいい水があるか。因みに、呉にもいっぱい名水と呼ばれる水があります。そこが出なかったのがちょっと残念ですが、そのような切り口でやられても良かったのではないかと思いました。


  • (H委員)
     私は非常に面白く見させていただきましたし、質の良い娯楽番組だなと思いました。
    放送の時間帯は、土曜日のお昼前ですから、多分軽い気持ちで見ている時間だと思います。そういった時間に、このような番組を見れば、この連休をどう過ごそうか、選択肢を沢山いただいたような気がしました。
     私はこれを見ながら、佐々木先生の所に行って水の話を聞きたいなと思ったし、いろんなお店が出ていましたので、お豆腐にしろ、お酒にしろ全部のお店を覗きたいと思いました。
    深く掘り下げた重いものでなかったところが、この時間帯には結構よかったと思います。


  • (I委員)
     私は仕事柄、水には非常に興味があるんですが、このテーマを一度に1時間にまとめてやられるというのは、ちょっと無理があったのではないかと思いました。山頭火と松山、柳井があって広島がある。それぞれが繋がらないんです。それぞれ15分とか30分の独立した番組にした方が良かったなという気がします。
     お水と山頭火の歴史、それに枝の部分として佐々木先生の話がありましたけれども、バランスが取れていない。現実と非現実と歴史とが噛み合っていない感じがしました。水について言えば、全部がおいしい水で、全部が名水なんです。残念ながら、名水についての定義がなかったですね。良かったのは俳句が出たところの情景。あれは非常に良かったと思います。井戸水を使っていますので分かりますが、毎年水が変わってきています。建物ができるたび、工事をするたび、水量も水質も変わってきています。その現実が、ペットボトルに入った水などによって、世の中は分からなくなってきている。それと、広島はお水が豊富でたくさんあるということに甘んじているところがあると思います。だけど、そんな状況でないというのが現実です。よくよくその辺りを考えていかないといけないと思います。


  • (D委員)
     最近、ペットボトル症候群って、若い人がペットボトルを持っていないと気が落ちつかないという傾向があります。その面からも、この企画はすごく時宜を得ていると思いますので、こういう番組をもう少し続けて欲しいという思いはあります。


  • (委員長)
     私は、番組を見た何人かの人に意見を聞いてみましたが、多くの人がなかなか爽やかでいいという印象を言っていました。素材としての水は、テーマとしてはいいのですが扱い方が非常に難しい。たとえば、ヨーロッパでコーヒーを飲む時には硬水のほうが美味しいとよく言うわけですが、我々の感覚というものをもっと客観的で共通性のあるものに変えていくことが必要なのです。ですから、そような番組を今後とも継続的に作っていただけると、大変ありがたいと思います。水というのは、そのきっかけになる非常にいい素材だと思いました。


  • (RCCからの報告事項)
    ・ちょっと手前味噌ですが、放送文化基金という、これはNHKが中心に設立し放送文化の振興ということでやっている団体ですが、その放送文化基金賞をRCCが受賞をいたしました。一つはラジオドラマ番組の「篠笛」で、ラジオ番組賞を、それからもう一つ、沖美町にラジオの送信所を建設しましたが、狭い土地に高能率で指向性のあるアンテナを設置したその技術に対して、放送技術賞を受賞しました。
     それから報道番組で、去年の8・6の時に放送し、番組審議会でも審議していただきました「小さな島の片隅で〜原爆小頭症 信子〜」がギャラクシー賞を受賞しました。
    ・この7月1日をもって、新たに放送倫理番組向上機構が設立されました。これは、これまでNHKと民間放送が、共同で「放送と人権と権利に関する委員会」、「放送と青少年に関する委員会」、そして「放送番組委員会」の独立した第三者機関を設け、それぞれ番組の質的な向上ですとか、放送倫理の確立を目標に活動してきました。この3委員会が、発展的に統合した組織です。この放送倫理番組向上機構の中に「放送番組委員会」、それから「放送と人権と権利に関する委員会」、「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会を置き、連携しながら番組の向上と視聴者対応を図っていくことになりました。


平成15年6月24日
中国放送番組審議会
出席委員は
委員長:生和秀敏
副委員長:久保田文也 三好久美子
委員:野村純孝 上田みどり 山坂淑子 清水恵 奥原祥司 青木暢之 黒木義昭 
以上10名

以  上

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