第481回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

平成16年最初の番組審議会が、1月20日(火)に開催されました。
今回の審議番組は、1月17日(土)午前10時40分から放送しました報道特別番組 『エノラ・ゲイ、高度9600mそして原子雲』です。
この番組は、エノラ・ゲイが、完全に修復された形でスミソニアンの新しい施設に展示されることになった。しかし、技術的な栄光の象徴としての展示であり、原爆で何が起こったのかということには一切触れないという。抗議のため渡米した被爆者団体に同行取材、1時間番組として制作したものです。
視聴後、委員の方々からは、下記のご意見・ご感想を頂きました。

  • よく取材をされているとの実感を持ちました。エノラ・ゲイを題材に被爆や戦争について考えさせられた。日本とアメリカの教育、戦争に対する思想・考え方の違いなど、どちらが良いということではなく、視聴者に考えさせる番組としては良かったなと思います。「やった」「やられた」ではない形で将来解決を図ることが、私は被爆都市ヒロシマの大事な意識ではないかと再度感じました。


  • 最後の一言、原子雲の上と下で未だ共通のものとなり得ていないという、その先を受け止めて次に進みたい。事実の次という、何か大きな宿題をもらったような番組だと思います。ただ事実を受け止めるのではなくて、その後を探るような番組だったと思います。


  • 私は、広島に投下された原爆で母を亡くしていますが、戦争はいけないと分かっていながら、何故止めることができないのだろうか。今、世界では、戦争があちこちで起きています。エノラ・ゲイをテーマに番組を作ることで、戦争はいけないということをどんどんアピールしていく。非常にいいことだと思います。今の日本の若者がエノラ ・ゲイをどのように見ているのかということも番組の中に取り入れ、戦争はいけないということをもう少しアピールしていれば、もっと良かったと思いました。


  • 私は戦後生まれですが、親からいろんなことをよく聞かされておりました。非常に悲惨な状況であった。こういった番組は、ぜひ引き続き制作して欲しいと思います。そして、我々広島の人間が伝えていかなくてはいけないことだと思います。
    イラク戦争も取上げられていましたが、ここはいまだに劣化ウランを使って戦争をやっているところです。劣化ウランの恐ろしさというか、そういったのをもっと皆さんに 知ってもらう必要があるのではないかというふうに思いました。
    また、広島だけじゃなく全国に放送していただければ、もっと広島や平和のことがアピールできると思います。 


  • 戦争の悲惨さというか酷さというか、それを1時間弱ぐらいの時間の中で淡々と描かれていたと思います。アメリカの一国主義というか、現在のアメリカがどういう仕組みで、どうしてあのような考え方が出てくるのか、非常に分かりやすく提示していてくれたような気がします。憎悪のなすりあい、憎悪の繰り返しの輪廻みたいなもので、それは本当にむごい。人間って、なんでいつまでもこんなバカなことを繰り返すのかなとの思いにかられて見ていました。アメリカという国は勝利、大国主義というか、とにかく一番じゃなきゃいけないというような意識が非常に高まっている。それが9・11テロ、あの事件をきっかけに高まってイラク戦争まで来てしまっている。そういう流れを分かりやすく提示してくれたなという印象があります。


  • 被爆60年、広島にとって大きなメモリアルな年がやってくるわけですが、それに向けて中国放送としての姿勢を示されたのかなというような気がしました。
    原子雲の上からと下からという区別の仕方で、視聴者にとっては割と分かりやすい番組、良質のドキュメンタリーだなというふうに思いました。
    ただ、イラクからの帰国風景で兵士のところがちょっと冗漫かなと感じた。もっと劣化ウラン弾とか、核問題をテーマにした番組としてのこだわりみたいなものを入れ込んでいればより良かったかなと思います。


  • このような番組は、どんどんやって欲しいと思いました。内容的には、酷かも知れませんが、館長さんにも会えないというのはどうしてなんだろうか。日程のことがあるのか、取材規制があったのか。でも館長さんに取材できるような状況に持っていくという努力があってもいいのではないかという気がしました。そしてもう一点は、真珠湾攻撃と9・11のテロの戦いをアメリカ側は同じようなレベルで受け取っているのではないかと思います。そこは余りサラッと行って欲しくない。もう少し若い人達にも分かるその時の状況みたいなものが欲しいなと感じました。


  • 日本の現状として、広島の世論なり考え方というものが、日本の国内に伝わっているのだろうか。あるいは被爆者の考えていることが、今の若い世代に同じような受け止め方をされているのだろうか。それは、アメリカとのギャップを云々する前に、我々の中で、そういうギャップがどんどん拡がりつつある。これほどの苦しみが分からないのかという怨みの構図みたいな伝え方が、果して多くの人達に受け入れてもらえるのだろうか。そこを考えないと、これが60年たって新しくデッドロックになる。そんな感じがしています。そういう意味で、非常にいい番組だと思います。
    今後、新しい番組を制作する時は、そういう視点をもっと持ち続けていただきたい。


出席委員
生和秀敏 久保田文也 三好久美子 野村純孝 丸本たかし 
上田みどり 青木暢之 岡本彰  

以  上

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