第497回中国放送番組審議会概要

(於 中国放送役員会議室)

9月の番組審議会は、秋の番組改編についての報告に引き続き、番組の審議を行いました。
審議番組は、8月5日の深夜に放送しましたTV番組「いのちの証〜ひと針に込めたヒロシマの記憶」です。
この番組は、学徒動員の途中に鶴見橋で被爆し、治療のためアメリカに渡った時に滞在先で出会ったキルト、小さい布切れをつなぎ合わせて作るこのキルトで自身の被爆体験を伝えたいと10年前から取り組んでいる今年73歳の被爆女性を描いた作品です。
番組視聴後、委員の方々からは次のようなご意見ご感想をいただきました。

  • 自分の思いをキルトで表現する。それはとても静かなのだけれど、もの凄い迫力があると思いました。最後の作品のテーマが「水」ということでしたが、被爆死されたお友達に飲ませてあげたいという彼女の優しさがよく表れていました。そして、彼女自身の人生が悲しいということだけで終わらない、それを乗り超えた強さ、再起した彼女の生命力というか、後ろ向きではない前進する力みたいなものが伝わりました。


  • 今の私にできることはないかと考えると、母国の韓国に向けて広島の悲劇を伝えることだと思いますが、もっと広く中国とかアメリカなど全世界に発信することが大切だと感じました。主人公の女性は、こんな大きな被害にあったのに明るく生きておられるのか。彼女の言葉に、いい出会いがあったから心を開くことができた。そして、明るい色になった。こんな素晴らしい話はないと思いました。


  • 素晴らしい映像だったと思います。ただ、途中で歌が出てきました。とてもストレートな詞を並べた歌で、すごいなと思って聞きました。言葉ではなくキルトで思いを表現したいと10年ほど前から始められるまでには、相当な葛藤があったと思います。その辺りのことを、もう少し知りたいと思います。


  • キルトという舞台は、意外性とともに出会いとぬくもりの象徴という感じがして、非常に静かなタッチでしたが、岩に水が染み入るような訴求力があったと思います。
    放送時間が深夜の1時25分からということですが、勿体ないなと思います。若い方々、特に高校生に見てもらったら良いと思いますので、再放送されたら如何かなと思いました。


  • 中国放送は、原爆関連の番組を多く取り上げていると思いますが、風化させてはいけないので、来年以降もぜひ続けてもらいたい。番組については、キルトだけじゃなく人生観といったところも描いて欲しかったと思います。


  • 原爆を風化させないという、RCCの使命感がはっきり分かる番組だったように思います。きわめて丁寧な作り方をしていて好感が持てました。
    原爆乙女として何回も手術を受けられたそうですが、極めて淡々と明るくはっきりと物を言われていました。「キルトの作品の中に色んな想念、原爆の出来事を抽象化して表現しています」とはっきり言われたことで、年月が経ったことを感じました。いずれにしても、今までにない形で被爆者自身が語られるのを拝見して、とても力強さを感じました。


  • 番組の意図は明確で、内容的にも十分だったと思いますが、この方がどういう形で、被爆を乗り越える新しい力を生み出されていったのか。そのプロセス、空白の30年が描かれていればと感じました。こういう情報が今後の新しい平和運動を展開していく上で必要なのではないかと思いました。


<文責 番組審議会事務局>

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