(於 中国放送役員会議室)
2006年1月24日
1月の番組審議会は、昨年の10月から3カ月間、毎週金曜日の深夜に放送された「グラウンド・エンジェル」から11月25日の放送分と、12月27日の日曜日に放送されました「グラウンド・エンジェルSP」という2本のテレビ番組を審議しました。
この番組は、元米米クラブのボーカリストで色んな分野で幅広く活躍している石井竜也さんが、光と音楽を取り入れた平和のメッセージを平和記念公園から世界に向けて発信しようと企画したイベント「グラウンド・エンジェル」をメインに制作したものです。
番組視聴後、委員の方々から次のような御意見、ご感想を頂きました。
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とても感動しました。このようなイベントがあることを全く知りませんでした。
放送時間が深夜というのはもったいないと思いました。
黒田征太郎さんのヒステリックにならないで、ちょっと口笛でも吹いて、持続可能な平和を考えようという言葉。これからは「スター・ウォーズ」よりも「スター・ピース」というジョージ・ルーカスの言葉を紹介していましたが、そういう角度の考え方がこれまで余りなかったように思います。イデオロギーによる平和運動よりも、プラス思考からの平和の方が若い人が受け入れ易いのではないかなと思いました。
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大林宣彦監督をはじめゲストの言葉が心に止まることが多く、良かったと思います。是非とも被爆60年の単年度で終わらせるのではなく、このような芸術文化の発信を地元のマスコミとして継続してサポートしていただきたい。
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石井竜也という素晴らしい才能とRCCが、あまり肩肘張らずに自然体で取り組んでいる。そういったところがすごく柔らかく訴えてきました。押し付けじゃなくて、考えるヒントを提供するとのコンセプトで貫かれていたと思います。
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とても感動しました。広島人として平和や原爆について伝えていかなければいけないと思っています。この番組は、映像がとても綺麗で音楽も良かった。若い人に向けたドキュメンタリー番組だなと感じました。
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この番組を見て、「グラウンド・エンジェル」というイベントがあることを知っていたら参加して実感してみたかった。広島に住んでいる者としてちょっと残念か気がします。
- 平和公園を利用することが許可されない時代が長くありました。8月6日の夜にピースキャンドルを企画したり、コンサートを開催するなどしながら実績を積み重ね、今ではオープンキャンパスとして表現できるようになりました。
人それぞれの平和観もあるでしょうし、時代の変遷の中で平和観そのものが変わっていったりすることもあると思います。その時々に、このような形で平和をアピールすることは非常に素晴らしいと思います。
- 石井竜也さんは、このようなイベントを盛り上げるにはピッタリの人じゃないかなと思います。横浜で3年やられたということですが、広島の人達をどんどん巻き込んでいかれれば、広島の「グラウンド・エンジェル」は横浜とは違った意味が出てくると思います。ぜひ、継続していただきたいと思います。
- 私は、きれいな作品だったと思いました。それだけに、極めて上滑りでおもしろくない、違和感すら覚えました。
この番組のテーマが祭りであったとすれば、集ってくる人々やその人々のエネルギーを伝えるべきだった。もし、アートであればアートをもっと前面に出して伝えるべきだったと思います。観念的にピースという言葉をつかっても何も生み出しません。
石井竜也さんがゲストの方々と平和について語っていました。一体、平和とは何なのか。なぜ、平和をこの広島の地で求めるのか、どうして広島でなければいけないのか。その辺りがさっぱりわからなかった。祈りという面をもっと前面に出して、淡々とこのプロジェクトを紹介されたほうが上品であり、RCCらしかったのではないかと思いました。
- イベントの紹介番組としては非常によくできた番組ですが、一つの自立した番組として評価すべきか、イベントとの連動で評価すべきものなのかちょっと評価が難しかった。
今までの平和運動が、余りにイデオロギーだとか被害者に重点を置きすぎて人々の共感と広がりを持たなかった。加害者と被害者という構図が続く限り、我々は真の平和を共有できないだろうと思います。
映像や音楽にはパワーがあると思います。これから平和という大きな人類的課題に正面から取り組むとすれば、映像を作る人、音楽を作る人の思想性と深みがなければ、その場限りのイベントとして終わる可能性がある。そういう総括が、この番組で伝えられたらと思いました。
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