2008 広島大学・中国放送共同制作番組 広島大学テレビセミナー・ラジオセミナー

広島大学テレビセミナー2 「瀬戸内の自然と暮らし」
 瀬戸内地域の自然は,今どのような状況にあるのでしょうか。例えば,森林の現状そして将来について,私たちの今の暮らしとの関わりでどのようなことが考えられるのでしょうか。昔は燃料や肥料をはじめ,目の前の自然のめぐみに依存する暮らしが長く続き,大きな負担もかけてきました。今は,その意味では全く違った段階にありますが,かつての経験についても振り返ってみましょう。さらに,私たちの暮らしと自然という観点から,瀬戸内地域は災害が少ないと受け取られがちですが,土砂災害を中心に,自然災害の現状とその備えについても考えてみたいと思います。そして,もちろん自然の素晴らしさについても,豊かな歴史・文化遺産とともに,観光という視点からその現状を確かめ,将来への可能性を探ってみたいと思います。

<放送のご案内>
  第1回 第2回 第3回 第4回 放送時間
放送日(毎週土曜) 11月1日 11月8日 11月15日 11月22日 午前5時15分−5時45分
再放送(毎週月曜) 11月3日 11月10日 11月17日 11月23日 午前2時25分−2時55分

再々放送(木・金曜)

12月25日 12月25日 12月26日 12月26日 午前4時30分−5時30分
※放送時間が変更になることがありますのでご承知おき下さい。
聞き手:石田充

第1回 現代の自然と人々の暮らし
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日本では,古くから森林と人間とが共存し,その資源や景観が有効に活用されてきました。日本三景に代表される白砂青松は典型的な日本の風景とされます。また,田園風景を構成する里山も同様に日本の原風景のひとつです。これら両者に共通するのがマツ林で,瀬戸内海沿岸を代表する森林植生です。1970年代から広がった松枯れや,森林の不適切な管理により,この風景が失われつつあります。マツ林の成立と人間との関わりを考えることを通して,瀬戸内海沿岸の森林の現状と将来,さらには人間との調和についてふれてみたいと思います。
第2回 江戸時代の自然と人々の暮らし
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江戸時代の林野には,樹木がどの程度繁っていたのでしょうか,またどのような動物が棲息していたのでしょうか。そして,それら植物や動物の様相と,地域の人々の暮らしのあり方はどう関わっていたのでしょうか。人々の暮らしは,昔から自然の恵みに支えられてきました。人口が増えたりさまざまな産業が発達するなかで,自然には大きな負担をかけています。このような課題について,江戸時代広島藩領の沿岸部や島しょ部の姿を紹介し,自然と人々の暮らしのありかたを振り返ってみたいと思います。
第3回 自然災害と防災
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瀬戸内周辺地域は気候が温暖で雨も比較的少なく,災害も少ないところというイメージを持たれている方が多いようです。しかし近年だけを見ても,台風の上陸数10の記録をつくった2004年もそうですが,2005年も2006年も台風の暴風雨によって大きな被害が出ています。特に,花崗岩類地質の広く分布する地域では土砂災害の素因が非常に多く,豪雨に見舞われると簡単に崩壊や土石流が発生してしまう状況にあります。自然の恵みを享受しつつ,いざというときに災害から身を守る先人の知恵にもふれてみましょう。
第4回 自然・文化と現代の観光
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瀬戸内海には,宮島のように,昔から人が集まる「観光地」が多く存在しますが,全体的に地域として評価されるようになったのは,19世紀からです。当時,日本を訪れた外国人旅行者が瀬戸内海の多島美に強い印象を受けましたが,現在も,外国人旅行者が増加し,瀬戸内海の観光に新しい刺激を与えています。しかし,瀬戸内海の観光は,海と島の景観にかぎりません。個性的な歴史と文化を持つ港町,カヤックやヨットなど,様々なマリンレジャーの舞台となる穏やかな海の魅力も高い。そこで事例として,歴史的な遺産が危機に面している鞆ノ浦と,最近静かなブームを起こしはじめているカヤックを紹介し,瀬戸内海の観光の現状を考えます。